(※この記事は2011年1月6日 WordPress時代にアップした記事をリライトしたものです。)
先ほど、Number Webの記事を読んでみました。
オリンピックへの道〜Number Web〜 男子マラソン復権を駅伝が阻む!? 20kmと42.195kmの間に横たわる溝。
最近のマラソン日本男子の成績を見る限り、停滞しています。 ・・・というよりも半ば諦めているっていう印象があります。
駅伝の弊害
実業団を辞めてマラソンに集中している藤原新選手は別として
それ以外に実業団で走っている選手は駅伝で活躍している印象が強いです。 記憶が新しいことに2011年1月1日のニューイヤー駅伝はまさに熾烈な闘いでトヨタ自動車が初栄冠に輝きました。
というか、駅伝出場した選手で知っている人が余りいないことに今気づきました(^_^;) これは企業の広告塔としての役割が強いです。
そういう意味でニューイヤー駅伝で終盤まで争ったトヨタ自動車と富士通は 大きな広告効果を得ることができたのではないかと思います。
企業としては個人選手よりも、団体でなおかつ自身の企業を連呼してくれるほうが選手を置いておく意味もあるからなのでしょう。
それに陸上の団体競技といえば、分かりやすく思いつくならリレーと駅伝。 特に駅伝は毎年確実に視聴率が見込めるから尚更です。
そうなると選手はマラソンの練習よりも、距離が短い駅伝の練習をせざるを得ないとも言えます。
駅伝とマラソンの違い
一般の視聴者から見たら、 「マラソンは駅伝より距離があるから少しペースを落とせば大丈夫なのでは?」 と思う人もいるかも知れません。
駅伝選手の1kmの平均ペースが、2分50〜55秒だとすると マラソン選手は、3分00〜10秒あたりがだいたいの上限。
確かにマラソンのペースと駅伝のペースを比較すると マラソンの方が少しペースが落ちているのが分かります。
ペースの面から見たらマラソンは少しゆとりをもって走ることができますが、 あくまでも呼吸面にゆとりが出ているだけであって
脚までが42.195kmに対応していません。
その分かりやすい例が、福士加代子選手が初マラソンを挑戦したときのことです。
Wikipediaによるとこのように記されています。
1月27日に開催された大阪国際女子マラソンの本番レースでは、スタートの長居陸上競技場を飛び出してから大阪城公園を出る30km付近まで、福士ひとりだけがハイペースで突っ走り、完全に福士の独走状態が続いていた。しかし、練習でマラソン距離を継続して走っていなかった事が災いしてか、福士は30kmを過ぎてから急激にペースダウン。その後34km過ぎでは優勝したマーラ・ヤマウチ(イギリス)や2位の森本友(天満屋)らに抜かれると、35km以降から殆どジョギング状態が続いて十数人の選手に次々と追い抜かれていく。それから福士はフラフラの状況で走り続ける中、さらに40kmを過ぎた長居陸上競技場へ入る手前の、ゴールまで残り570m付近では足がもつれて1度転倒、そして競技場へ入ってからは3度も転倒しながらも、2時間40分54秒のタイムでようやくゴール。注目された初マラソンは19位と惨敗に終わるも、最後はあまりにも壮絶なレースとなった。 福士加代子 - Wikipedia
福士加代子は主に5000m〜10000mを中心に走っている選手で、 長距離選手の中ではスピード能力がある断然上の選手です。 ハーフマラソンも優勝していて基礎能力は十分にあります。
しかし、Wikipediaでは30km過ぎてペースがダウンしたように、脚が思ったように動かない。
これが巷に言われる30kmの壁に遭遇したケースです。
30kmの壁を突破する下り坂トレーニング AllAbout 参考として上記のサイトを要約すると
・エネルギー切れ
・ペース配分の誤りと脱水
・ショックに耐えられない。
どれも福士加代子選手に当てはまっています。
それぐらいハーフとフルは違うのです。
福士加代子がきちんとフルマラソンに向けた練習をしていれば無様な姿を晒すことはなかったのではないかと思います。。。
ハーフマラソンとフルマラソンは別物
私自身も、ハーフマラソン(21.0975km)とフルマラソン(42.195km)を走った立場からして やはり両者は別物のレースであると考えています。
21kmでも確かに長いですが、ある程度の走りこみをすれば、 極端にペースが落ちることなく調子さえよければ脚の疲れがなくフィニッシュはできます。
一方でフルマラソンは、ハーフのペースより少し落としました。 しかし30kmを過ぎれば徐々に思ったように動かなくなり 福士加代子選手と同じように最後はジョギングペースでフィニッシュ・・・
(※参考までに私の自己ベストは、ハーフは1時間31分55秒、フルは3時間29分10秒)
私自身、ある程度の走りこみはしていれば42.195kmは余裕と思っていましたが、 実際に経験してみるとフルマラソンにはフルマラソンに対応した練習をしないと厳しいと実感しました。
やはりマラソンに対応した練習を
したがって冒頭の駅伝がマラソンの復権を阻むというのはあながち間違いではないと考えます。
何しろ選手一人ひとりがマラソンに対応した練習をしておりませんから。
このままでは日本のマラソンは、衰退の道を辿ってしまいます。
企業はもちろん、国からのバックアップを早急に施す必要があります。 また選手自身もマラソンにシフトするよう実業団にも進言するべきでしょう。
じゃないと日本のマラソンは、単なるお祭りで終わってしまうかと。
一ファンとして日本男子が五輪でメダルを手にするのを見てみたいです。
追記
6年前に書いた記事ですが、なんだか恥ずかしい文章ですね・・・ 気を取り直して今の自分の思っていることを述べます。
何を基準にして練習するか
今でもフルマラソンはフルマラソンに見合った練習はするほうが好ましいということは変わりません。 ただ、どの部分をゴール(目標)として設定するかで変わってくると思います。
たとえば フルマラソンの1回きりの「完走」であれば、制限時間内にフィニッシュできる体力をつくる練習をすればよし。 それ以上に何度も出て記録を目指すようになれば、質的練習をすればよし。 ハーフマラソンであれば90分切りを目指してそれに応じた練習をすればよし。
人それぞれゴールが違いますので、アプローチの仕方を自分なりに感じ取って目指していくほうがいいかなと思います。
駅伝からマラソンへ
2017年現在は2020年の東京オリンピックに向けて陸連は色々と対策を考えています。 その一例が代表選考の改革です。
東京五輪からマラソン代表選考に新方式導入、2段階選抜に : スポーツ報知
選考方式をより分かりやすく、より強い選手を選出するのはとてもいいことです。 ただ駅伝選手がマラソンに転向して結果が伴うかは別問題です。 現実に、2017年の今も実業団の駅伝偏重は変わっておりません。 やはりきちんとしたマラソンに向けたアプローチは必要です。
ということで、フルマラソンとハーフマラソンの違いでした。