昨日のマラソン世界選手権は男子・女子とも入賞すらできないほどの惨敗。
ボルトが決勝で3位になったことよりもショックな出来事でした。
今回はレースダイジェストではなくて、結果論というか感想をブログで書き下ろしたいと思います。
男子の結果
- 9位:川内優輝 2時間12分19秒
- 10位:中本健太郎 2時間12分41秒
- 26位:井上大仁 2時間16分54秒
日本人最高位が川内優輝選手でした。
途中、集団から脱落、転倒、給水ミス等のトラブルに見舞われるも後半から徐々に追い上げていき、もしかしたら「入賞ラインに入るか!」と思わせてくれるような走りを見せてくれました。
川内優輝選手が初めて東京マラソンで日本人1位になったことを彷彿させるような全身全霊をかけた走りに身震いしたものです。
それでも入賞には届きません。
女子の結果
- 16位:清田真央 2時間30分36秒
- 17位:安藤友香 2時間31分31秒
- 27位:重友梨佐 2時間36分03秒
日本人最高位は清田真央選手。中継を見る限りでは安藤友香選手の忍者走りをして極力ロスをなくそうとしているのが分かりました。
ただ先頭集団の後ろについたのは、慎重にいった結果だからなのでしょうか。
安藤友香選手、重友梨佐選手は特に見せ場もなくただ走っているだけの印象です。
こんな結果になることは予想はしていましたけど、入賞ラインから遠い順位になるのは予想外です。
日本のマラソンは何が足りないのか
男子も女子も含めて以前から言われているようこれが「世界との壁なんだ」ということが凝縮されたレースです。
レースコンディションに至っては、気温は日本ほど高くなくロンドンは14度と快適に走りやすい環境です。これくらいの気温であれば入賞してもおかしくありませんでした。今回はマラソンでは珍しい周回レースということで「駆け引き」が頻繁に行われたのは想像に難くないです。
男子の方で序盤は井上大仁選手が積極的に仕掛けましたが、仇となって集団から脱落。初代表ということもあり経験不足が露呈された感じです。
一方で中本健太郎選手は「いつもどおり」の自分のペースだけは遵守し、自分の走りをしていました。
川内優輝選手に至っては、100回以上のフルマラソン経験から肌感覚で中本健太郎選手をマークする感じ。
揺さぶりがあると走っている人の体力よりもメンタル面で消耗が激しくなります。
こうやってみると各国の代表選手みんなタイムよりもメダルを取るためのレースをしているのが分かります。単純に今回の優勝タイムを見ても日本人選手はメダルを狙えた位置にいたにも関わらず、入賞に届かなかったのは単純にレース経験の差ではないかと推測します。
なので日本人選手に足りないのは練習量というよりも、日本の中のレースに出て日本の中で結果を出すことに慣れすぎてる感が否めないです。
川内優輝選手は実業団に属していないので与えられた時間はすべて自分のために使い、積極的に各国のマラソン大会に出場して結果を出してきました。
実業団という縛りがないので、自由に自分で与えられた課題を自分の頭で考えて結果を出す。PDCAのサイクルを上手く実践しています。
逆に実業団選手はどうしても所属先の意向がありますので、レース出場は年に1回が関の山。これって何か違うような気がします。
改めてですが川内優輝のスタイルが今の日本マラソン界に必要だと私は考えています。
メダルを狙うマラソンを提言
以前、下記の記事を更新しました。
この記事に書いてるよう世界には「タイムを狙うマラソン」と「メダルを狙うマラソン」が存在しています。
川内優輝選手はタイムよりもメダルを取るために練習を取り込んでいました。
この発想って各国に回ってマラソン大会に出場したからこその経験なので、すごく説得力があります。
改めて言います。
日本はタイムなんかよりもメダルを狙うマラソンをするべきです。
言ってしまえば陸上競技ってのは競争なんですね。
競争から勝つにはタイムを縮めるのは至極当然といえばそうですけど、マラソンのようなコース形態だと駆け引きがとても重要になります。
その駆け引き力を磨くためにもマラソン大会を年に数回出場するだけでも違ってくるような気がします。
なので東京五輪に向けて抜本的に見直しするべきです。
今回の代表選考に関して
男子・女子の代表選手内訳を見ると「経験者」3名、「初挑戦」3名という中でのレースでした。
先の東京五輪を見据えたこの大会を総括すると今回の代表選考は正解だと思っています。
なぜならば経験者の川内優輝選手と中本健太郎選手のこれまでの走歴が凝縮された走りは後々次代の代表選手に引き継がれるからです。
井上大仁選手はマラソンを走る回数がそれほど多くなく実戦勘が乏しかったのは確かです。中本健太郎選手は代表選考の別府大分毎日マラソンで初優勝を経験するまでは後1つ何か足りなかった部分があり常にもがき苦しんでいる印象でした。それが初優勝を経験し、この世界選手権でも自分を貫いて安定した走りは玄人をうならせるほど。
最後に川内優輝選手は、集大成を発揮した粘りの走りは観るものを魅了させてくれました。
あの最後まで諦めない姿勢が今の日本に足りない部分なのでしょう。
女子に関しては、重友梨佐選手は見せ場がなかったのが残念です。
清田真央選手と安藤友香選手は初代表を経験して、次からは東京五輪に向けて更なるレベルアップが望めます。彼女らに必要なのは何よりも「経験」だけなので。
ただ、女子は個性的な選手が見当たらないのが痛いですね・・・
高橋尚子や野口みずき、福士加代子など強烈な個性をもった選手がいないとイマイチ盛り上がらないような気が・・・こればかりはどうしようもないのか微妙ですけど・・・
東京五輪まであと3年あります。今回の課題に対しての答えは3年後にわかりますので、それまでの過程をしっかりと見守りたいと思います。
以上、世界選手権の感想でした。